ピラミッドの運搬路の設計
Ⅰ) 運搬路の設計
クフ王のピラミッドの高さは93.33段(93.33高)で端数の付いた数値である。その理由は、頂点から地面までの高さが280腕尺(表-2)で、段数が280÷3=93.33段となるためである。そのため、地面の位置を0.33段高い位置に設定して、高さを93段、底辺の長さを93辺として運搬路の設計をした。運搬路は、ピラミッドの93段目(地面)の平面に仮設の突出部分を造り、それに勾配と幅が同じ運搬路を設置する第1の経路と、それとは別に、ピラミッドの他の3面に直接、運搬路を設置する第2の経路を設計した。
1)第1の運搬路は、13段目(125.78m」)の平面に規格化した運搬路を併設して、次に、同じ規格の運搬路を地上の93段目に向かって、各段に突出した状態で、階段状に設置する構造とした。そのため、13段目からの垂線と、各段のピラミッドの平面との交点から運搬路までの間に平面ができる。この平面からピラミッドの重複部分を引いた部分が突出部分になる(図-13)。ピラミッドの建造は、93段目(地上)に段の平面と突出部分を造り、その中央に規格化した運搬路を設置する。次に、これを使って92段目の平面と突出部分を造る。その後、方向を180度変えて、92段目に次の運搬路を設置して91段目の平面と突出部分を造る。その場合、運搬路は、前の運搬路の位置よりも1基分内側に変位させて設置する(図-14)。これを13段目まで行う。規格化した運搬路の基本形は「 幅1.5辺(2.4685×1.5=3.70m)、底辺10辺(24.7m)、高さ1高(1.6m)、勾配約3.6度」とした」(図-13)。幅を1.5辺としたのは、縦と横の長さが1辺 (2.47m) 高さが1高(1.6m)の立方体の石を運ぶことを想定して、余裕のある幅とした。また、底辺と高さの比率が24.7対1.6の場合、角度は約3.6度となる。そのため、底辺を10辺(2.4685×10=24.7m)、高さを1高(1.6m)とした。この運搬路を南面の突出部分に設計した。また、運搬路の設置には踊り場が必要なため、その長さを3辺(2.47×3=7.41m)とした。到達部位は基本形の長さの10辺と踊り場の3辺の合わせた13辺の長さが必要となる。そのため、運搬路の最終到達部位は13段目とした(図-13)。3段目から12段目まではピラミッドに密接した階段状の運搬路を設計した。(これについては後述する)。運搬路の設計を幾何学的に行うには、最初に、基本形の配置の基となる図面を作成する。それには1段を1高に描いて、ピラミッドの底辺の長さの間隔を運搬路の幅の1.5辺で描く。その正面図と側面図を作る(図-13)。