ピラミッドの石の運搬方法
Ⅱ) 石の運搬について
石の運搬手段としてソリを使用した場合、丈夫な構造が必要となるため、重量も大きくなり、その製作と、その重量の運搬に多大な労力が必要となる。この仕事を省くために、直接石を牽引して運搬する方法を行ったと考えられる。石を牽引する際に問題となることは、石と運搬路との接触部分に生じる抵抗である。この解決には、抵抗を減らして、さらに、石の重さに耐え得る構造が必要である。重い物を運ぶ運搬路の例として鉄道が挙げられる。鉄の線路は細いため車輪との摩擦抵抗は小さく、さらに、硬いため、強い重圧に耐えられる。 もし、汽車が急ブレーキをかけて車輪の回転が停止した状態でも、車は線路の上を滑って行く。鉄道を参考に運搬路として石の線路を検討した。石を線路の上に乗せて牽引する場合、石と線路の接触面積が小さいため、牽引に対する抵抗は少ない。さらに、石の重さに耐えられるため、石を滑らせることが出来る。線路の設置部位は平坦である必要はない。砂地や斜面に設置できる。線路は平らにして牽引に対する抵抗を減らし、さらに、接合部は段差が無い状態に高さを調整する。線路は直線の必要はなく、運搬先に向けて方向を、変えて設置する。石の方向転換は回転させずに、引き込み線を使って行う。筏への石の積み下ろしは、筏の上に丸太の線路を設置して、岸壁まで設置した線路に接続して行う。石の運搬は石に結んだロープ、あるいは、巻き上げ機を使って牽引して行う。石を上に移動する場合は、梃子を使って、石を持ち上げて、下に固定の石を差し込み、下面を造る。それにより、石を垂直に順次移動する。梃子の錘には砂嚢を使い、必要に応じて棒の数と長さを増やし、砂嚢の数を増やす。梃子の原理で巻き上げ機の牽引力を計算する。巻き上げ機の支柱の半径を10cm、ロープの牽引力をxkg、棒の長さを2m、押す力を100kgに設定すると、力のバランスはxkg×10cm=200cm×100kgとなりⅹ=2000kg=2トンとなる。巻き上げ機には4本の棒があるため、ロープの牽引力は2トン×4=8トンとなる。棒の長さと押す力を増やすと牽引力は増加する。